弁護士による相続相談【弁護士法人心 岐阜法律事務所】

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遺言の効力はいつから発生するのか

  • 文責:所長 弁護士 古田裕佳
  • 最終更新日:2025年2月4日

1 原則は遺言の効力は相続の開始日から

遺言の効力は、原則、相続の開始日(通常は、被相続人が亡くなった場合はその日)から効力を生じます。

そのため、相続の開始前は、当然のことながら遺言に効力はありませんので、相続人の一人が自己に不利益な遺言を発見したとしても、相続開始前であれば、何の請求もすることはできません。

なお、遺言は、相続開始前であれば、何度でも書き直すことが可能ですので、自己に不利な内容の遺言があったとしても、被相続人の自由意思のもと遺言を書き直すことは可能です。

2 例外的な場合

遺言は、原則として相続開始日に効力が生じますが、例外的に、条件や期限を定めた場合、条件が成就した日や期限が到来した日に遺言の効力が生じる場合があります。

条件としては、たとえば「長男が令和10年1月1日までに結婚した場合は、長男にすべての財産を相続させる」というものが考えられ、期限としては、たとえば、「令和8年1月1日に長男に全財産を相続させる」というものが考えられます。

この場合、長男が結婚した日や令和8年1月1日が当該遺言の効力の発生日となります。

なお、条件付きや期限付きの遺言については、条件や期限の設定次第では、遺言の内容が実現されない可能性がありますので、注意が必要です。

たとえば、長男に遺産全てを相続させ、長男がその後に亡くなった場合は、二男に遺産全てを相続させたい場合、たとえ遺言に、「長男に遺産全てを相続させ、遺言の効力が生じた後、長男が亡くなった場合は、二男に全ての財産を相続させる」といった内容の遺言(いわゆる後継ぎ遺贈型遺言)を作成したとしても、無効になる可能性が高いです。

3 遺言の作成は専門家にご相談を

このように、遺言は相続開始後に効力を生じますが、条件や期限を付けることで、例外的に遺言の効力発生日を遅らせることが可能です。

もっとも、条件や期限を付ける場合、その内容があいまいな場合や法律上の規定と矛盾する場合は、当該遺言が無効になってしまう可能性がありますので、注意が必要です。

そのため、遺言に期限や条件を付けたい場合は、相続に詳しい専門家にご相談されることをおすすめします。

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